反省と言いがかりと夢

やじすずライブの快い余韻を噛みしめている方々は読んじゃダメ。



<過剰な期待は禁物です


とは至言だな、とあらためて感じる。
一言でいえばこれなのよ。期待しすぎて、ないものねだりをしてしまった。「いつもとはちょっと違う趣向で」という企画*1に「いつもと明らかに違う」ものを求めるという、そもそもズレまくりの期待が外れたといって、文句をいう方がどうかしている。自分でも言いがかりレベルだろうと判断はする。


ノれなかったヲレが絶対に悪い。実はしましまいまいさんバースデーイベントも今ひとつノれなくて、これはもう引退を考えるべき時にきているのかもしれない。
一夜明けた日曜日に、諸悪の根源は寝不足からくるコンディション不良だったかもしれない*2と実感。いい加減無理の利くトシでもないのだから現場の前日は早く寝ることにしよう、という反省はあるけれど、そういうことなんで悪かったねてへぺろ、で済ませてしまっては、終演後に(正面きって発言はしないまでも)少なからず楽しい気分を減じてしまった方々に申し訳ないような気もする。ズレたものはズレたものでやりきっておかないとモヤモヤしてしまうかもしれないし、お互いに変に気を遣っていいたいこともいえなくなったらポイズンじゃんよ。



単純にね。
矢島舞美鈴木愛理が組むのであれば、もっとすげぇもの、椅子から動けないくらいにこちらを圧倒するものを見たかった、聴きたかった。だがそれは、ヲレとステージとの関係においては発見できなかった。ANNEXや℃フェスを生バンドでやってみました、以上のものを感じ取ることができなかったのよ。寝不足って怖いね。



個人的に高まったのは、ピアノ弾き語りやります、と『雨』(森高千里)を始めておいて、イントロで演奏停止、
从・ゥ・从<2〜3年練習して、ようやくイントロまで弾けるようになりました
とボケた瞬間。それから、
从・ゥ・从<『ガールフレンド』(アヴリル・ラヴィーン)を歌いましたけど
州´・ v ・)<片方だけじゃ、ねぇ・・・
ときて、
Σ(オ゚Д゚).。oO(『マイ・ボーイフレンド』(北原佐和子)クル━━━━(゚∀゚)━━━━!!)
と、ありえないひらめきが脳裏を駆け抜けた一瞬。

これはどういうことなんだろう。


予定調和、に感じていたんだろうな。
アコースティックライブなんで着席観覧でシクヨロ、という予定調和、でもライブなんだからサイとか振ってワイワイやろうぜ、という予定調和。そこに「どっちつかず」の印象とともに、カタチは整えてあるけどさ、という感想を抱いてしまったのよ。ちょうど視界に入った明るすぎるピンクの光が目障りだったし、ソロキターで条件反射のように赤いの出してくる人々もうっとうしかったしね*3
そういう違和感ごと予定調和をぶち壊してくれる「そうきたか!」を待っていた。それが来るんじゃないかと夢を見た。いい夢見させてもらったよ。
とはいえ、「ライブなんだから(俺たちが)楽しんでナンボ」でのべつ幕なしに騒ぐのは論外だけど、「アコースティックライブなんだからいつもの調子でやるのは控えめにしよう」と決め込んでしまうのも、方向性が違うだけで「柔軟性に欠ける」点では目くそ鼻くそだと気づくことができたのは収穫だったな。ヲレもまだまだ修行が足りねーわ。



カタチを整え、観客とワイワイやるのが先に立ってしまって、やや引っ込んでしまったものがあった。そのように感じられられた。
互いのソロ曲に互いがコーラス参加したのは美しいハーモニーに酔いしれたし、長山洋子のカバー(違)〜ラブマの流れもマニアックで面白かった*4。曲書いた人が違っても「グレートマジンガーのOP歌ってたらいつの間にかキカイダー01のED」みたいな遊びができるんだね。
アヴリルはよく頑張ってたしノリもよかったな。それから、失礼な表現になるけれど、「ヤジマ歌うまいじゃん」。まっさらの落ちサビに苦労していた昔の記憶があるものだから、ここまで歌えるようになったのね、と感慨深いものがありました。昔話をもう少しすると、『雨』はパシイベで歌ったよねゲリラ雷雨で大変だった日に。
圧巻は『SWEET MEMORIES』。ヲレらの世代だと、サントリーのCMのペンギンとか、流れはじめた当初は歌手名が公表されてなかったので「歌ってるのは誰?」と話題になったことなんかを憶えてるじゃないですか。客入れBGMが「桜」にちなんだもので、その中に『チェリーブラッサム』もあって、聖子つながりできたか! という驚きもあった。それで脳内が「80年代つながりで北原佐和子を期待する」なんてあさっての方向にズレたわけでもあるけれど。


ここまでやったならもう一歩踏み込むというか、たとえばロック/ポップスとは違う曲調に挑戦してみるとか、マイクなしで歌うとか*5、「有料の会員制サイトを90日以上継続利用している者限定」という条件の*6、概ね「好きな」人が集まるライブだからこそ、今のところ「一度しかない」らしい企画だからこそ、大事故上等で無謀なくらいの挑戦を目撃したかった。
成功か失敗かのドキドキを期待するのは趣味が悪いと自分でも思うけど、どっちに転ぶかわからないものをリアルタイムで見つめ、体験する興奮は格別のものがあるのよね、このギャンブルおっさんにはよ。


音楽ってここまでやれるのか、こんなことができるのかと圧倒されたい。音楽を通じて「息詰まる」体験をしたい。これも最近のライブでは味わえないものだと思うのよ。AB℃の『Yes! all my family』はすごかったな、ああいう曲調なのに身体が動かなかったもの。


むしろ逆に、「息詰まる」ことを避けた、とも受け止められたのよね。
「コロンの飼い主と亨の娘」も「リード&クラブ」も音楽家であるのだから、まさか「音楽にそこまでの力があると信じられなかった」ということはありえないわけで、そうなると、


オーディエンスに気を遣った


のではないか。オブラートにくるめばそういう表現。
桜チラリで始まって、ソロ曲あり弾き語りあり洋楽あり、おまけにせかっぴーだわJUMPだわ、アンコールは君チャリ*7にイメージカラー。ちょいとサービスが良すぎではありませんでしたかね。
サービスするのは結構なんですが、もっと突き放すというか、「これは俺たちの知ってる矢島と鈴木じゃない」という空気を醸し出しちゃうようなものでもよかったのではなかろうか。
たまにそういう場を経験することで客も成長するんだけどなぁ、ヲレだってムーンライダーズの客席で「いつものノリが通じない」空気によってどれだけ学んだか。ヲタクってのは永遠にコドモだから成長なんかしませんよ、という正論はひとまず忘れよう。


あまりに冒険が過ぎた場合のオーディエンスの反応、が、怖かった、のではないか。
演者に気を遣わせる客って最低だよな。


過去に松浦さんや安倍さんで開催したことはあるように記憶しているけれど、松浦さんはそもそもソロ歌手だし、安倍さんも確か卒業してから。ハローのユニットメンバーのライブとしては相当に珍しい形態だと思う。松浦さん安倍さんがやった頃からは時間も経っていてファン気質も変わっているかもしれないから、あまりにも「いつものノリ」とかけ離れてしまうと、どういう反応になるかリサーチが不足していてもおかしくはない。だから不安はあったと思うし、静かに座っていたら楽しんでいるかどうかわかりづらいから、そこも懸念されただろうと思う。演者を不安にさせる客ってのも最低だから、これはこれで「じゃあどうするのがよりベターだったか」の判断が難しい。ヲレ以外はかなりの大絶賛だから、ベストの選択だったともいえる。
本人・スタッフ・客をざっと見回して、文句をいってるのがヲレしかいないということは、ヲレ以外については大成功ということで、いいのだろうな。ヲレだって学習したわけだし、同じような機会があれば、「いつもとちょっとだけ違うけど“らしさ”は変わらないライブ」を楽しむことができるだろう。


信用できなかったのか、慎重になったのか。そこを思い込みで性急に断ずるのは避けたい。2公演しか開催しない催しで慎重もねぇだろうよ、「持ち歌なし」「トークなし」くらいのことやったっていいじゃん、と個人的には思うけどさ。
万が一「いつものノリ」「いつものヤジマさんとスズキさんと客」で安心してしまうのであれば、いかに矢島舞美鈴木愛理といえどあと2年もしないうちに表現者としての成長は止まってしまい、ひたすら固定客に媚を売って金玉いじくり回すだけになるだろうし、「JUMPやっときゃ文句もなかろう」という考えでセットリストを組んだ大人がいたとしたら、「内向きの仕事してんじゃねーよ、悪いけど一発殴らせてくれない?」って気分になっちゃうな。
ヤジマさんとスズキさんにはさ、客のご機嫌伺いなんてしてほしくないの。もしかしたらハローに客を引っ張ってくる立場になれるかもしれない*8表現者として、自分自身に求める姿、理想の自分に向かってひたすら邁進してほしいの。
从・ゥ・从州´・ v ・)<好きにやるからついてこれる奴だけついてきな
って傲慢が許される表現者だと思うし、そうあってほしいし、むしろその方が「地の果てまでもお供仕ります」って気持ちになれるんだけどな。
理想が「いつものお客さんと一緒に楽しくやる」なら文句はいわない。


ファンを大切にしよう、という優しさが、ただ一人ヲレにだけは裏目に出た。そういうことかもしれないね。


願わくば。
一度きりの企画なんていわず、スマホ対応記念だの○周年だので、もっと続けてほしい。やじすずで続けるのもいいけれど、ポケモー会員は矢島ファン鈴木ファンだけじゃないのだから、たとえば「夏焼雅菅谷梨沙子」なんか黄金カードだろうし、「真野ちゃんが久しぶりにピアノ弾きまくるよ」でもいい*9。誰であれやればできるのがハロプロメンバーだ。
そうやって、メンバーのみならず客もスタッフも経験を積みデータを集め学んでいく。いつものライブにフィードバックされることされないこと、両方あっていい。そんな風に展開してくれたら、また新たな扉が開けるんじゃないのかな。
そういう流れの上で、再び「コロンの飼い主と亨の娘」を見ることができたら、今度は「いつもと明らかに違う」「もっとすげぇもの」に出会えるんじゃないか。出会いたいな。
ここから先はそういう夢を見ることにしよう。



音楽がわからない人には理解できない高度なライブをお送りしました、ということであれば、すまんヲレが悪かった。見られるまでもなく下に回ります。


ヲレは「実験」が見たかったんだ。
それだけ書けばよかった話だね。重ねがさね申し訳ない。

*1:だったんだろうなぁ、という感触。

*2:そういえばBDイベも睡眠が十分ではなかった。

*3:持ってこなかったけど振っていいのなら、とグッズ売り場で赤とピンクを2本ずつ買ったけれど、当たり前のように光りだしたのに萎えちゃって出さずじまいでした。

*4:全然関係ない話で恐縮ですが、洋楽カバーだと真弓倫子の『アイ・ハード・ア・ルーマー』が好きです。やってもうた感の強さも含めて。

*5:それにはちょっと会場が広かったか。やるとしたらTOKYO FMホールですかね、ってそれじゃ吉田真里子のハートフルギャラリーか。歌ったのは『翼になりたい』だったっけ?

*6:2次募集以降はgdgdになりましたけどね。

*7:ハロタの中野ハロコン回を見た時、電車が「でうしゃ」になるような、「ん」が「う」になっちゃう部分が耳障りだったんだけど、かなり修正されてきてた。こういうところが大好きなんだヲレ。

*8:『ゾンビデオ』の一般公開は秋、なんて話が聞こえてきたけれど、ゆうばりきっかけでヲレたちの知らないところから盛り上がりはじめそうな雰囲気が感じられなくもないらしい。

*9:真野ちゃんはいつも一人だから、誰かと組むのも面白そう。