史上最幸のアイドル(前編)

从・ゥ・从<お〜とっこ〜のっことちが〜う 女の子って♪
(オ゚Д゚)<クリィミーマミか。よく知ってるな
(オ゚Д゚)<確か最終回のサブタイトルは「ファイナル・コンサート」だったな
(オ゚Д゚)<これとゴッドマーズの決め技でファイナルって言葉を覚えたもんだ
从・ゥ・从<好〜きっとっき〜らいだけ〜で 普通じゃないの♪
(オ゚Д゚)<普通「が」ないの、だよ!

从・ゥ・从<お送りしたのは、『魔法の天使クリィミーマミ』のOPテーマ
从・ゥ・从<太田貴子さんで「デリケートに好きにして」でした
(オ゚Д゚)<「好きして」だよ! 当時のアニメ雑誌の読者投稿欄か!*1
(オ゚Д゚)<いい加減にしなさい
(オ゚Д゚)人从・ゥ・从<ども、ありがとうございました〜


そんなわけで、ファイナルならぬラストコンサート。ファイナルじゃおニャン子クラブだもんね。
℃-ute、4385日におよんだteam℃-uteとの歴史に幕(音楽ナタリー)

℃-ute、さいたまスーパーアリーナで見せた有終の美。「team℃-ute愛してるよ!」(BARKS)

℃-ute 涙と笑顔と愛に溢れた4385日“ありがとう!”―――アイドルシーン全体の分岐点となった夜 100%レポート公開 (billboard JAPAN)

これだけ詳細なレポがあれば、何かをくどくどいう必要ないね。



素晴らしいコンサートだった。ただただ、最高だった。
39年に亘る俺のアイドル現場人生で一、二を争う、いや、殿堂入り大決定の公演だった。
俺基準でいうなら、℃-uteはアイドルの頂点に到達したといっても過言ではないだろう。


始まって2曲目あたりで、「本気」がビリビリ伝わってきた。並々ならぬ決意で、出し尽くすつもりで臨んでいる。最後のステージなんだから当たり前と思われるかもしれないけれど、ここまで「伝える」ことを地道に、愚直に、誠実にやってきたからこそ伝えられるものがあるのだし、表現する(できる)こと、その表現を受け取れる喜びは格別のものがある。


古い曲多めのセットリスト。なんという俺得。こんなときにまで、俺のために歌わなくてもいいのに。


VTRコーナー。BGMは俺の嫌いなアレ。
嬉しいね。
アレは、℃-uteに歌ってほしくない、歌う℃-uteを見たくない歌なんだ。


歌詞は中身がなくて薄っぺらく、聴き手の感情をアテにしてる。聴き手に甘えてる。メロディーも部分的にキャッチーだけど全体としては凡庸。ざっくりいって感動ポルノ。
複数のメンバーが「好きな曲」に挙げてることを考えるとあまり強く主張するのもどうかという気持ちが頭をもたげてくるけれど、これはもう、俺の知識・経験そして感性のすべて、さらには俺が愛好する各ジャンルの作品・表現物とそれを生んだあらゆるクリエイターたちの名誉も賭けていう。これはアカンやつや。
(オ゚Д゚)<全・体・的・に♪
(オ゚Д゚)<大嫌い♪
(オ゚Д゚)凸<DEATH!
Σ从;・ゥ・从<シェキドルさん!?


何より許せないことがある。

もう誰一人も 欠けないで


このたった一行の歌詞で、
「メンバーの減少を、逆に成長へのステップとして、常に前を向き、進化を遂げてきた」
という℃-uteの物語、そういう物語を作ってでもネガティブな事態に負けまいとした反骨心、負けず嫌い、不屈の闘志、ツッパリ、・・・そういうものを台無しのぶち壊しで全否定されたように感じた。
それぞれに何かしらの思いを抱いて去っていった3人が、何か悪いことでもしたかのように扱われている。℃-uteってそういうグループだったっけ?
ZYXで目立っていた梅田えりか村上愛℃-uteに興味を持ち、有原栞菜が帰ってくることを心の底から願った俺は、
「これからも、℃-uteの応援よろしくお願いします」
公式サイトに出た最後のメッセージの最後の一言を、ただの社交辞令というのが実情だったとしても、村上愛との約束のように心に刻んで℃-uteに向き合うことにした、そんな俺としては、絶対に看過できない。


リ ・一・リ<もう誰一人も 欠けないで♪
(オ゚Д゚)<あーそうですか 欠けて悪うござんしたね
そんな気持ち。ドッチラケ。

(オ゚Д゚)<そんなこと、岡井千聖が歌おうってのかよ!

富野アニメっぽく叫んでみても、LUNA SEA・・・違う、虚しい。
アレを歌われるたび、歌う℃-uteを見るたび、胸の古傷が疼き、新たに傷つけられる思いまであった。


今回も歌うだろうと思った。最後だから我慢しよう。そう決めた。
ところが。


歌わなかったのだ。


関係者席に気を遣えば、外すわけにはいかない大人の事情。それをこう消化する。
最後のシリアルイベントで歌ったから、というより、ここでこうするから、あの時歌っておいたのだ。

最後のコンサートで、2万人の前で、俺のために歌ったり歌わなかったりしようってのか!


ああ、そうだ。
℃-uteはいつだって、俺のために歌ってきた。久しぶりに、それが感じられた。
心にチカラが入った。きっと顔つきも一変していたことだろう。


℃-uteと心がつながっている。そんな懐かしい感覚。
今日はいける。もう大丈夫。
あとは、ノリしかない薄っぺらいのが来ても、小細工ばかりで肝心のところがなってないのがあっても、笑ってやり過ごせるよ。
この感覚が戻ってきたのなら。


懐かしい映像、懐かしい歌。遠慮も出し惜しみもなしだ! という気迫があらためて伝わる。
まっさら。SSAでのオープニングアクトの映像。
あの時はアリーナの後ろの方で全然見えなかったよなー、今日はスタンドでよかったよ。そんなことを考えていたら、突然思い出した。
あの日のモーニング娘。コンサートは、400レベルから上を封鎖してなかったっけ?
この記憶に間違いがなければ、500レベルまで観客が入ったこのSSAは、℃-uteにとって初めての光景になるのか。いいもの見られてよかったねぇ℃-uteちゃん。


愛らしく、微笑ましく、クールに、誠実に。心をこめて、歌い、舞う。
これだけのことができるなら、実際に歩んだ道のりの陰に、選ばなかった選択肢も相当あっただろうな。そんな「if」を思った。
たとえば、本格的な海外進出。数々の海外公演を成功させたけど、思い切って海外サーキットを活動の中心にしていたら。アメリカは厳しかったかもしれないけど欧州はそこそこいけたかもしれないし、アジアはすぐに平定できたと思う。いっそのこと・・・

・・・実際は不可能だったと思うけど、そんな一瞬の夢を見た。
最後のコンサートで、別の可能性までも想像させる。そんなエンターテイナー、見たことないよ。だいたい、最後のコンサートってのは「可能性」なんてどうでもよくなっちゃうもの。だって最後だもの。ここで終わりで、そこから先はないんだもの。
ところがどっこい、よっこいしょういち。最後なのにまだ可能性を感じさせてきた。
もっともっと、いろんな℃-uteを見たかったなぁ。まだまだ色々やれたよなぁ、惜しいなぁ。
最後までちゃんと「惜しい」と思わせる。さすがは℃-uteだ。


楽しい、楽しい、超楽しい。こんなに楽しいラストコンサート、俺ってば39年間現場にいたけど、見たことも聞いたこともないよ。
空前のラストコンサート、といっていい。最後だからといって、涙、涙でなきゃいけないということはない。そんな主張を残していった。
これはねぇ、この先アイドルちゃんのラストコンサートを企画・立案・実行する際のテーマが増えたと思うよ。
涙ナミダでいくか、明るく楽しくいくか。明るくいくなら、これを超えられるか。
最後の最後に、現役のアイドルたちに対してハードルを上げていった。俺はそう思うよ。



「誰かが駄目だと言ったら、もう駄目なんですか?」
そんなプロレスラーの名言を思い出すような、℃-uteの道のり。
どんな時も、誰一人、あきらめなかった。迷っても、揺れても、倒されても、押しつぶされても、最後の3カウントは取らせなかった。2・9で肩を上げ、立ち上がり、挑み続けた。


(オ゚Д゚)<なぜだ!?
从▼ゥ▼从<坊やだからさ


冗談はさておき。


こんなところじゃ終われない。ここで終わったら、
ハロプロキッズの余ったコたち一応デビューしたけど、勢いよかったのは最初だけで伸び悩んだまま終了したね」
そんな評価が下される。
無理。ありえない。絶対に受け入れられない。
私たちはここにいる。ここで歌っている。踊っている。ここで生きている。
認めさせるまで、生きた証を立てるまで、終われるもんか。
・・・そんな声が、歌声の向こうから届いた気がした。そういうことが、何度かあった。


どんなに追いつめられても、5人の目は輝きを失わなかった。それどころか炎を噴き出していた。バックステージで何があろうと、ステージでは燃えていた。そこから、パフォーマンスに凄みともいえる迫力、求心力が生まれた。
そう、℃-uteは炎だ。熱だ。まさに「みなぎる情熱の体温」だ。その熱に触れたくて、僕らは現場に足を運んだのだ。


一歩でも、半歩でも、昨日より今日、今日より明日、少しずつ前進を続け、常識や固定観念を覆していった。
同期のBerryz工房とは違う形で、でもうまい具合にお互いをカバーし合うように、
「ここまでできる、やっていい、やれる」
そういう枠を広げてきた。殻を破るのがBerryz工房、枠を広げるのが℃-ute。そんなイメージ。どう違うんだとツッコまれたら返答に窮するけど、とにかく、ともにハロプロ中興の祖だと思うし、斯界に残した功績は大きい。


気がつけば、センターステージで「To Tomorrow」を歌う℃-uteの後ろ、メインステージにハロプロメンバーが整列して*2、歌う℃-uteの背中を見つめている。
思い出す。真野ちゃんがデビューしたての頃、エルダークラブのコンサートに出演したときのこと。舞台袖で中澤さんが真野ちゃんに一言、
「見といてな」
そう言ってステージに向かったという逸話。出典は忘れた。
ハロプロは、後輩に背中を見せるもの。そのために、見せられるだけのものを乗せた背中を、自分で作っていかなければならない。これもまた伝統。
堂々と背中を見せて、堂々とやり切った。
℃-uteも、そういう先輩になれたということか。昔から矢島舞美の背中は美しく頼もしかったけど、全員が後輩に見せられる背中を手に入れたか。



アンコールが終わる。
まだ歌ってない曲あるよなぁ!? でも何だっけ? ℃-uteコールをしながら必死に脳内を検索する。
ヒットしました。
あれか。


思い起こせば10年前、キューティーショー。そのオープニングを飾ったあの歌。
開演に間に合わなかった俺が、生で聴けなかったあの歌。
ここで来るのか!? 来ちゃうのか!?
これは大変なことだ。
歴史が美しい円環を描く、という俺好みのシチュエーションというだけじゃない。
あの歌は、メジャーデビューシングルのカップリングだった。そして初コンサートの1曲目だった。
はじまりの歌。
それを、最後にもってくる。


ここから始まるものがある。


そうだ、そうだよな。
五つの物語は、ここから新しい章を綴っていくんだ。
これは終わっていく「解散」じゃない。始まっていく「散開」なんだ。
从・ゥ・从<YMOか!
いやー、YMOが「散開」という言葉を使った時は意味わかんなかったんだよ、アホな中学生だったから。やっとわかったよ。Wikipediaによるとそんなに深い意味はなかったっぽいけど、だったら℃-uteが初めて深い意味のある「散開」をするってわけだ。


そして、聴き慣れたイントロ。
5人の「出発の歌」が、SSAを満たした。


最後の最後は、「たどり着いた女戦士」。
発表された時は「初めて武道館に立つくらいで達成感出されてもなー」と感じたし、そもそも℃-uteは戦士っつーより勇者じゃね? という気分もないではないが、この際そういうことはもういいや。
この日この時この場所で歌われるため、この歌はあったのだ。


2017年6月12日、午後9時10分。
隅々まで心配りの行き届いた、素晴らしいラストコンサートは幕を下ろした。
観察していた人によると、SSAから出てきた人はみんな笑顔だったらしい。卒業とか最後とかいうと、会場周辺で泣き崩れているヤツが一人くらいはいるものだけど、そういえば見なかったな。
観客を笑顔で帰すラストコンサート。これまた空前のコンサートだったんじゃないかと思う。
そもそもさぁ、こんな「めでたしめでたし」で終われるアイドルなんて、そうそういるもんじゃない。うまいことステップアップしていった人はそこそこいるけどさ、最後の最後までやり切った満足感いっぱいで、あたたかな感動と幸福感をお土産に持たせて帰すアイドルは、俺様調べでは史上初よ。


オーディエンスを笑顔にさせるのは、パフォーマーの笑顔。
あの場を一番楽しんでいたのは、誰よりも℃-uteの5人だった。
楽しくて楽しくてしかたない。そんな5人の笑顔が、観客を笑顔にさせたんだ。

わたしはあなたに上機嫌をおすすめする。これこそ、贈ったり、もらったりすべきものだろう。これこそ、世の人すべてを、そしてなによりもまず贈り主を豊かにする真の礼儀である。

(アラン「幸福論」白井健三郎訳、集英社文庫1993 P248)

かくして、上機嫌の波はあなたの周囲に広がり、あらゆる物事を、またあなた自身をも、軽やかにするだろう。

(同書、P250)


まさしく「上機嫌の波」が、ステージから客席の隅々まで広がった、その成果だ。



「Thank You team ℃-ute
お礼をいうのはこっちの方さ。ありがとうね。
・・・ん?


Thank You team ℃-ute

さんきゅー team ℃-ute

さん・きゅー・team ℃-ute


9月10日を「きゅー・と」と読んで「℃-uteの日」としてしまう℃-ute文化に則れば、当然「さん」「きゅー」には数字をあてることになる。


3・9 team ℃-ute


「・」はノイズだから消去する。


39 team ℃-ute


「39」とは何か。
刑法第39条?「心神喪失者の行為は(略)」で知られるあの法律ね。℃-uteとの関連性が感じられない。
39週、つまり3クール? 初代ウルトラマンとかイデオンとかブライガーとかバクシンガーが全39話だね。テレビ業界のことだからまったく的外れじゃないだろうけど、あまり関わりなさそう。
ということで・・・


(オ゚Д゚)<この「39」の意味するところは「39年間」
(オ゚Д゚)<つまり!
(オ゚Д゚)<この「Thank You team ℃-ute」というタイトルこそ
(オ゚Д゚)<「39年間現場にいたteam ℃-ute
(オ゚Д゚)<すなわち俺様に対する私信だったんだよ!

从・ゥ・从ノソ*^ o゚)州´・ v ・)リ ・一・リ(o・v・)<んなわけあるかーい!
失礼しました。あくまでも冗談なんで気にしないでね。お前らだって俺の矢島舞美に向かって「おーれーの!」とか叫んでるじゃん、おあいこだよ。



最後なのに、
「こんなに楽しい、素晴らしいコンサートが見られて嬉しい」
そう感じた人は多かったんじゃないだろうか。
僕もその一人だ。
2016年11月3日から℃-uteに向き合ってきたけど、ここまでのコンサートができる人たちとは思っていなかった。
最後の最後に、本当のポテンシャルが花開いた。


やっと納得できた。
メロン記念日における「MELON'S NOT DEAD」と同じく、このコンサートこそ、℃-ute最高の作品であり、この先続けてもこれ以上のものは作れまいとすら思える最高到達点なんだ。だからここで終わるんだ。

きっと何度も見たくなるな。

*1:「普通じゃない」も「好きにして」も実際見た記憶がある。出典までは覚えてないが、まぁこういうことを考えつくのは十中八九アウシタンかローディストと相場は決まってる。

*2:カントリー・ガールズのPMはいなかったそうだけど、演出意図としてはそうなるよね。