天使はジュクのおまいつ

从・ゥ・从<長い髪の少~女がっここでぇ~ここで見~てい~ま~す♪
(オ゚Д゚)<村下孝蔵でも斉藤由貴でも宇多田ヒカルでもなく徳丸純子か!

というわけで、3年ぶりに更新しますよ。
(オ゚Д゚)<派手にいくぜ!(海賊戦隊風に)


盛り場が怖くなくなった時、人は大人になる……そんな話があるのかどうか知らないが、大人になって夜遊びを覚えると、繁華街、歓楽街というものへの抵抗感がなくなっていくのは体験上も間違いはない。とはいえ遊び慣れているわけでもないので、得意な街、苦手な街というものは、俺の場合はある。好きなのは吉原*1、慣れているのは池袋の東口*2、開拓中が同じく池袋の西~北口*3。最近行ってないのが渋谷*4とか浅草*5、どうも好きになれないのが大宮の南銀座*6ってところですかね。昔の西川口も行ったなぁ、病気もらうまでは*7。行ったことないのが錦糸町*8、一度行きたいのが千葉栄町*9


中学生の頃から新宿東映地下の「アニメショップ ペロ」や新宿御苑前駅徒歩0分の「アニメック*10に行ってた割に、今も新宿はあまり得意な街ではない。今はなき名画座ミラノに『メガゾーン23』だか『幻夢戦記レダ』だかを見に行った時に*11カツアゲにあったせいでもあるまいが、どうも新宿というのは「怖い」街だ。まだドン・キホーテ靖国通り沿いになく、夜の歌舞伎町を突っ切って職安通り沿いの新宿店まで行った時は、正直いって足が震えた。コマ劇場を過ぎると途端に人通りが減って暗がりが増えるので、西武新宿駅から行くルートを覚えるまでは大変な思いをした。
ちなみにゴールデン街はどこにあるのかすら知らない。下戸には縁のない場所だからね。


そんな新宿を重要な舞台の一つにしたゴキゲン極まりない映画が、三池崇史監督の『初恋』だ。

hatsukoi-movie.jp
公式サイトも生きてるし、円盤も発売されてるしレンタルもある。一部の動画配信サイトにもある。だから手や首が飛んだり転がったり遠慮なく血が出たり面白いように人が死んだりする映画に抵抗がなければ、見ていただくと話は早い。万人にオススメはできないけど、好きな人にはガッツリ刺さること請け合い。好きな映画が『県警対組織暴力』『女必殺拳』『徳川セックス禁止令 色情大名』(順位なし)という俺には刺さったよ。『色情大名』に替わって3番目に挙げられるかも。

見てもらえば話は早いが、話すことがなくなる危険もある。
じゃあ映画見ただけじゃわからない(かもしれないがそうとも限らない)話でもしようかね。


ぶっちゃけこの映画を、そろそろ外出が憚られる雰囲気になってきた2月の終わりに、神田のネットカフェに荷物を置いて(日曜だったので、見た後で競馬の予想と購入をする場所が必要だったのよ)丸の内TOEIまで見に行ったのは・・・・・・


从・ゥ・从<チョトマテクダサイ
从・ゥ・从<見たのが2月、書き上がりが8月
从・ゥ・从<時間かかりすぎでない?
(オ゚Д゚)<導入考えるのに4ヶ月、シメを思いつくまで二週間
(オ゚Д゚)<9000字くらいの文章にこんなにかかるのが今の俺の限界よ
(オ゚Д゚)<商業ライターとかインフルエンサーでなくてホントよかったよ
从・ゥ・从<ここも昔は大手扱いだったのにね
(オ゚Д゚)<面目ない
从・ゥ・从<まぁ、書けたんだからいいジャマイカ


・・・・・・話を戻して。とにかく見に行ったのは、


矢島舞美さんが出ているというから

この一点。

℃-ute解散後の俺は、元々病んでいたメンタルを悪化させて、
「知らない人に囲まれた室内が苦痛」
「知らない人が背後にいると気になってしかたない」
という状態になってしまい、出演する舞台やライブイベントに行けない日々が続いた。ついでに生活が苦しくて会費が払えずFCも抜けてしまい、これではいかんと思ってきた。
そんなこんなで、好きな監督の一人である坂本浩一監督の「BLACKKFOX:Age of the Ninja」も時間(と円盤を買うお金)の都合がつかず未見のままでいるので、今度こそは見逃すまいと誓ったのよ。


しかも監督は三池崇史。作品を見たのはテレビの『ウルトラマンマックス/第三番惑星の奇跡』(異色作にして傑作!)くらいしかなかったが、『ゼブラーマン』は特撮/ヒーローヲタクの間で話題になったし、『ヤッターマン』も(主に深田恭子が)好評を得たのを覚えている。
それらのほかには「なんかバイオレンスものをよく撮ってる監督」というイメージが間違いなくあったその監督が、個人的に「怖い」街である新宿を舞台にヤクザとかチャイニーズマフィアが血みどろになる話を撮って、よくわからないけどそこに矢島舞美が出る、だけど感想ツイートを掘っても役柄とかが不明瞭だし、そもそも話題にしてるのがやじまんずしかいない。
これは日本有数の「矢島舞美には(冷静さを欠いて)ちょっと(迷惑なレベルで)うるさい人」を自負する自分が見るしかない、見なくてはいけない。


なので、矢島舞美が演じた「看護師みゆき」の話をするのだ。止めても無駄だ。ちなみに看護師は苗字ではなく、苗字が設定されていないので便宜上こう呼ぶことにする。カンゴシが苗字じゃ『マンガで分かる心療内科』だよ。


映画を見れば、話題にならない理由がわかる。
何しろ、ハッキリとした出番は1シーンしかない。パンフレットを買わなければ役名もわからない。どうオブラートにくるんでも端役だ。余談だが、パンフレットでは藤岡麻美演じるチャイニーズマフィア構成員チアチーの下に矢島舞美演じるみゆきが載っていて、
「元℃-uteが元チェキッ娘の下に配置されている。やっぱり芸能界は年功序列の縦社会だなぁ」
と感じさせて・・・・・・いや実績も劇中の出番と重要度も観客の評判も全然違うから。

そもそも、1シーンしか出てない端役がどうしてパンフレットに写真つきで載り、ポスターにも役者の名前が出て、出番が切り取られて公式YouTubeにアップされるのか。
そりゃお前のようなヲタクが見に来るからだ、と言われりゃそこまでだ。まんまと引っかかったちょろいヲタクというだけの話だ。引っかかったおかげでこんな素晴らしい映画に出会えたのだから感謝している。俺の知るかぎりハロヲタは「カネを落とす」のが好きで、さらに℃-uteの(特にデビュー当時からの)ファンは「逆境に耐える」の大好きな マゾ 紳士淑女ばかりなので、それなりの人数が映画館に足を運び、通販でDVDを買ったことだろう。
それでも、いわゆるネトウヨと呼ばれる人々の「エクストリーム擁護」よろしく「どうにか都合のいい理屈をつける」のが大好きな俺としては、屁理屈でいいから何かやってみたい。


何をするにも「装備」がいるのはRPGばかりじゃない。今回用意したのは、
・映画パンフレット
www.tanabeshoten.net

・小説版
www.amazon.co.jp

・コミック版・上巻
www.amazon.co.jp

・同・下巻
www.amazon.co.jp

・国内レンタル版DVD(リンクはセル版)
www.amazon.co.jp

・北米セル版Blu-ray&DVD
www.amazon.co.jp

YouTube東映映画チャンネル「映画『初恋』予告
www.youtube.com

・同「『初恋』本編見てたら余計に楽しめる動画~手帳を落としただけなのに(矢島舞美)編~」
www.youtube.com


国内版DVDの恐ろしいところは、チャプター一発でみゆきのシーンに飛べること。さすが普段からヲタク相手の商売をやってる東映ビデオ……いやいや、このシーンけっこう大事よ。
みゆきが登場しない(カネ返せ!←すいません冗談です)コミック版と比較するとわかる。
「あなたを殴った男が警察手帳を持ってモニカ(小西桜子)と手をつないで去っていった」ことを大伴(大森南朋)に伝える人間がいないので、大伴は手帳を求めて闇雲に街を走り回った末に、殴った男=レオ(窪田正孝)が盗ったという確証がないまま「モニカを探し出せば事情は聞ける」と加瀬(染谷将大)に連絡して追跡を始める……という展開で、若干回りくどく展開のスピード感を殺している上に、追いかける根拠として「弱い」と感じさせる。
脚本を練り上げる段階加えられた役柄なのか、逆に脚本にはいたがコミック化する段階で削ったのか。確かにいたらいたで「うるさい」感じになったかもしれない。ちなみに小説版では、登場するが名無し。これもよかったと思う。名乗るのも不自然だし、地の文で名前出したら「重要な登場人物なのか」という印象になって読者の混乱を招きかねない。
確認しようのない話はともかく、レオとモニカ(と大伴)が出会って一夜の逃避行が始まり、映画がジェットコースター・ムービーとして転がりだす。そんなストーリー上きわめて重要な場面の目撃者として、現場に立つ「トーコープラザ」のテナントのどれかで一人で飲んだくれていたであろう、この間まで十代だったのに来年27になる看護師のみゆきが登場して、一部の観客に強い印象を残すことになる。

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矢島舞美が20011年(製作、劇場公開は翌年)に主演した映画『ゾンビデオ』の監督さん。覚えていてくれて、偶然かもしれないけど見てくれて、感想をツイートしてくれる。ありがたい話ですよ。


パンフレットに載っているその場面のスチール写真でも、トーコープラザの階段に座って見ている姿が確認できる。
DVD等でもわかるのだが、一つ疑問がある。座っていたのはみゆき=矢島舞美とわかるんだけど、その前の、モニカとレオがすれ違うシーンでしゃがんでいるのと、さらにその直前に階段を上がったところで立っている人物がよくわからない。同じようにも見えるし、服装からして違うようにも思えるんだよね。立っていた人物はパンツルック(スーツ?)なのでスカート姿のみゆきとは別人なんだろうけど、わずか数秒の間に人が入れ替わって、立っていたのが座ったりするものかね?
トーコープラザは上階がマンションなので、たまたま通りかかった住人か、あるいはみゆき自身が上に住んでいるのか。そんな風にも考えられるけど、さすがにそこまではわからない。設定もされていないだろう。だって端役だもの。


「バイバ~イ」*12と大伴を見送ったところで映画ともバイバイしてしまうみゆきだが、終わってみれば、登場人物のなかで数少ない生存者となるのだ。
いつかまた三池監督が新宿を舞台にアウトローが暴れまわる映画を撮ることがあったとして、その作品にも決定的な場面を目撃する酔っ払った看護師が出てきたら面白いよね。10年後に「あたしもうすぐ37ですよ」なんて言ってたり。
演じる役者が矢島舞美であれば最高だけど、そうでなくても別にいいんじゃないか。設定として同一人物であることがパンフレットや映画秘宝で語られれば、それだけで楽しいじゃないか。
みゆきが生きているから、そんな妄想もする。

生きているといえば、『初恋』という映画、すべての登場人物が、たとえ人物像が誇張されたものであっても、圧倒的な存在感と説得力、そしてもちろん演出によって醸し出された擬似的なリアリティによって、生々しく生きている。活きている、と表現したいくらい。アパートの汚い一室で下着姿のモニカが転がってる姿なんて、妙なくらいエロスがないのに、感動的なくらい生々しい。そこで生きている人間の姿というものがあった。
そういう人物の多くが、あの熱い一夜のうちに己を貫いて殺し合い、死んでいく。彼らに翻弄されながら、その生きざま死にざまの熱に突き動かされたように、流されるままに生きてきたような二人の若者が、生きること、そのために自分の場所で闘うことを主体的に選択する。そんな輝かしい「青春映画」の傑作でもあると、俺は思っている。
「いや、まだボクシングやりたいんで」
レオのこのセリフを聞いた時の感動は、劇場で見てから半年近く経った今も忘れられない。


長いことステージの真ん中に立つ姿を見ていたせいか、矢島舞美という人は主役でしか輝けない、脇に回ると魅力が薄れる。そんな風に思っていた。実際℃-ute時代の舞台では「明らかに主役なみの設定がありながら脇に留められたため、伏線らしきものが回収されずマクガフィンに終わるなど劇がおかしくなった」という印象を持ったものもあった。脇に回った舞台『フラガール』の好評は聞いていたが、
「みんなが見てイイと言うものを、俺が見て褒めることもあるまい」
というひねくれ者なので*13、チケットが取れなかったこともあって見ずに終わっていた。今にして思えば、『BLACKFOX』を見なかったのも「主役じゃなかった」からだろう。料簡の狭さに恥じ入る思いだ。


脇どころか、端役でもけっこう光るじゃないかこの役者。


今後を考えるとこれは大きい。若手女優は競争が激しい。主役クラスとなればなおのこと。
同学年には高畑充希がいる。たとえば次々クールのドラマ枠の企画会議で、どちらの主演で企画を出せば通りそうか、スポンサーがつきそうか、数字が取れそうか。
矢島舞美の売りの一つはアクションだが、二十代女性を主役にしたアクション映画を撮るとしたら、主演のオファーは土屋太鳳や山本千尋武田梨奈、あとは戦隊とかライダーの経験者あたりにいくだろう。
年齢的にも芸能活動のキャリアからしてもそろそろ「若手」でなくなる時期だけに、脇に回って存在感を出せるなら、仕事は増えたり安定したりする……と思う。


逃避行の終わりを彩ったあの朝日がまた沈んだあと、みゆきは夜勤でないかぎりやっぱり新宿で飲んだくれているだろう。街を通り過ぎていったレオとモニカ、街から消えていったヤクザやチャイニーズマフィアや悪徳刑事と対照的に、彼女と占い師(ベンガル)は「それでも街はいつも通り」を象徴する「何ひとつ変わることなくそこにいる者」、ヲタク用語でいう「おまいつ(お前いつもいるな、の略)」なのだから、それでいい、それがいい。


映画であれテレビであれ舞台であれ、ドラマの大きな魅力の一つは「変身」だと俺は思う。別に特撮好きだからいうのではなく、幕が開いてから閉じるまでで、主人公はじめ登場人物がどう「それまでとは違う自分」になるのか。それを楽しみに見る。
ところが、逆に「変わらない」ことが魅力になる人物に出会うことがある。ベンガルつながりでいうと『あぶない刑事』シリーズの近藤卓造(中条静夫)。いつも通りが魅力の存在。
みゆきや占い師には、通り過ぎる若者や消えていくアウトローたちとすれ違いながら、日々変わらず新宿で生きていてほしい。人の運命や営みを、干渉することなく見守る天使のように。
そう考えれば、℃-ute時代から天使とか女神とか太陽とか俺たちのリーダーとか呼ばれていた(だいたい呼んでいたのは俺だが)矢島舞美さんにはピッタリの役どころだったのだね。

*1:路地の両側に特殊浴場が建ち並ぶなかを歩くと、気分は紳士のディズニーパレードですよ。

*2:今よりもっと風俗店があった頃は、築地の会社から練馬のアパートに帰る途中よく寄った。今も歯医者とか薬局とか100円ショップ、あと食事でもよく利用する。

*3:通ってるメンタルクリニックが東口から西口に移転してから行くようになって、だいぶ慣れてきた。

*4:ハロショとかプラザエクウスがあった頃は通ったもんだ。

*5:小学生の時に初現場を踏んだ思い出の地。後楽園を知るまではWINSにも通った。

*6:道が狭いのがねぇ・・・・・・。

*7:いや、その後にも一度行った。

*8:いやWINSですよ。

*9:いやいやナポリタンのパンチョですよ。

*10:そういう名前のアニメショップがありましたのよ。興味があったらレッツ検索。

*11:いちいち話が古くて申し訳ない。

*12:この「バイバ~イ」は、YouTuberゆきりぬの動画のシメのそれに匹敵するくらいかわいい、と俺は思う。

*13:賛否両論ある(気持ち「否」が多ければなおいい)ものをエクストリーム擁護して「お前たちにはわからんだろうがな」とマウント取るのが好き。ええクソ野郎ですわ。