妄言妄言妄言ローハイド

いぬいぬさんがとてもチカラの入ったシリーズを展開してるので、何らかのリアクションをしなきゃいけない気分になりました。
頭の中を整理しながら書くと何かが抜けちゃうような気がするので、その程度で抜けちゃうようなことは初めから書かなくていいんじゃないかという気もしますが、それをいったら僕の書くものは基本的に「その程度」なので、けっこう大事。なのであえて未整理のまま書いていきます。・・・ということにしておけば話がどこへ飛んでっても大丈夫(苦笑)。したがって話はあらぬ方向へ逸脱していく予定。


ハロプロって、「アイドルのパロディをやるんだ」という大前提だけはこの十何年崩してないんですよね。ファンはしかたないにせよグループ内企業やお得意様にもそう思ってない人が少なからずいらっしゃるようなのが皮肉な話ですが(苦笑)。
TNXのことはよくわからないんですが、外から見たかぎりでは、ハロプロというパロディがアイドルの本流と勘違いされたことで「じゃあ<アイドル>を業務として真正面からやってみたら面白いんじゃないか」と立ち上げられたのかなーという印象があります。実験といえば間違いなく実験だし、業務そのものにパロディ精神を発揮してしまったという捉え方もあるでしょう。
好意的に捉えれば「バランスをとる」目論見があるんじゃないかと。何のバランスかはわかりませんけど。


ただ、もしかしたら思い描いている「アイドル」像に偏りがあるんじゃないか、あらかじめパロディ化されてる「アイドル」をやらせようとしてるんじゃないか、そんな風に感じることもあります。やっている女のコたちはそんな大人たちの目論見なんかおかまいなしにとても素直で誠実に活動しているっていうのは、どーなつちょー殿の日記を読んでれば伝わってくるんですが。


アイドルのパロディ化といっても別にアイドル業界に限った話ではなく、僕の記憶だと1980年代の初めから主にテレビの世界を中心として「今までのお約束をぶち壊して笑いにしようぜ」という流れが表面に出てきた。それまで編集で切っていたNGシーンを、逆に一まとめに「NG集」として初めて流したといわれるドラマ版『翔んだカップル』の放送はちょうど1980年のことでした。
そこからテレビ界≒芸能界というフィクションのメタ化が加速していって、「芸能界の勢力図をお見せします」という番組が跋扈する現在に至ったと勝手に思い込んでるわけですが、「お約束」の塊であるアイドルがメタ化の流れに取り込まれるのは当然だったでしょう。
メタ化といって話が大げさすぎるなら、「等身大の魅力」というのが過大評価され、悪い形で何もかもが一斉にそちらへ靡いたというか。阿久悠さんなんかは「日本をつまらなくしている」と批判的だったようですね。


私見ですが、芸能界というフィクションのメタ化の一部であるアイドルのメタ化をもう一段加速した、大げさな表現をすればアイドルという壮大なフィクションをぶち壊すのに多大な貢献をしたのが『なんてったってアイドル』という歌でありオールナイターズでありおニャン子クラブだったと思っています。それぞれは非常に魅力のあるものだったんですが。そんなわけで、たまに現役アイドルに『なんてったってアイドル』を歌わせるなんていう、ベタベタに見えて実は夏競馬で僕の買う馬券くらいハズレてる企画をテレビで見てしまうと「わかってねーなぁ」と苦笑が漏れるわけです。
・・・という流れだと当然某氏の話をしなければならないな、気が進まないけど(笑)。
あくまでも僕の印象ですが、もしかしたらアイドルの仕事でおカネを稼ぐ人のなかでもっともアイドルに情を持たない、それどころかある種の敵意というか悪意というか憎しみのようなものすら持っているのかもしれない。そんな風に感じることがあります。駒としてドライに扱うことをためらわずにできる人というか。「音楽仲間」という意識を捨てられない♂氏との最大の違いはそこでしょうね。だから僕は♂氏を否定しきれないわけなんですけど。


つんく♂氏がアイドル好きだというのは有名な話で、たぶんそれは事実なんだろうと僕も思っていますけど、原体験はパロディあるいはメタ化された後の80年代アイドルなんじゃないか、というのが僕の仮説。
というのは、キャナァーリ倶楽部の『ニシキカザレ』のPVをどこかのU局で見た時、「あー、こういうのなら昔通ってきたから今はいいや」という印象を持ったんです。あと曲名は忘れましたけど「ハイ!ハイ!ハイ!」ってやってる動画も見ましたが、どっちかというとオーディエンスの方がすごかった(笑)。
僕の場合80〜90年代を思わせる中途半端なクラシカル路線ってピンと来ないというかお腹いっぱいな気分になってしまう。それならば70年代、というわけで暑中お見舞い大絶賛と。よし℃-uteファンとして筋が通ってるな(笑)。
80〜90年代ルーツなら捻った味わいがないと物足りない。そのあたりのパロディを続けているハロプロが大好きで、ヨソの人気者の皆さんにまったく興味を持てないのはそういうことです。80年代から僕の中身が成長してないからお腹いっぱいになるのかも(苦笑)。


・・・何の話だっけ? 一応「ハロヲタが外から乏しい情報でいい加減なことを書き飛ばすTNXの話」がテーマなんで戻します。


「真正面から」というのをどこまで本気でやってるのか、やるつもりなのかが読みきれないところは、TNXに関する僕にとって最大の情報源であるいぬいぬさんの記事を読んでると感じますね。「本気なのに本気じゃないふりをするTNX」なのか、あるいはその逆なのか。現場スタッフの方々は本気だろうと思うんですけど、上の方の気分という点の話。
実験だけに自分たちの業務を一歩引いた眼で見る、というのはあって不思議はないとも思うんですが、間違って売り出しが一歩引いちゃう、なんてことがなければいいんですが。ってこれはハロプロにもいえるかも。
ハロプロTNXも、現状のままなら固定客の枠から外へ出るのは厳しいんじゃないでしょうか。「真正面からアイドルを売ろうとするなら固定客相手の商売しかないじゃないか」というのは業界の批評としてはアリですけど、それを業界の人がやったって面白くならないと思います。


その昔マニアの間では「事務所またはレコード会社のどちらか一方でもアイドル売り出しの経験がないとコケる」というパターンが半ば定説のように語られていました。世の中をうまく乗せていく「仕掛け」の経験、ノウハウの蓄積なしに成功する商売じゃないということでしょうかね。
そうはいっても他人様の大事な娘さんを預かっておいて、
「実験やりました。会社はノウハウを得たから問題ない」
で済む話はないわけで、どこへ着地させるつもりなのか。「じゃあ脱いでもらいますか」ってことはやらなさそうですけどね。





せっかくなんで強引に℃-uteを絡めましょう(笑)。
℃-uteは僕の見てきたり知っていたりする<アイドル>像とはまるで違っていて、そういう意味ではアイドルではない」
という話を中野の居酒屋でしたのは、確かAB℃の頃だったでしょうか。
℃-uteのみならずハロプロ(OG含む)そのものが「アイドルではない」ものだとしたら、そんなハロプロが大好きでヨソの「アイドル」にほとんど興味がなくなった僕は、もしかしたらアイドルが嫌いになったか、そもそもはじめから好きじゃなかったのかもしれない。そんなことまで考えてしまう今日この頃。