ブラッディ・マイミー
・・・そんな名前のカクテルを考えてみるのも一興かもしれませんな。ヲレ酒には詳しくないんで誰かよろしく(丸投げ)。
本格ホラーという話もありましたが、ざっくりいうとスプラッタ・ムービーでした。これはこれで苦手な人も多いでしょうな。
正式な公開は来年だっていうし、今ネタバレしたって年内にみんな忘れるだろう、もしかしたらヲレも忘れるかもしれない。というわけで全開でいきましょう。
(以下、個人の感想です)
暗
黒
ホ
ラ
│
軍
団
从;・ゥ・从<ガイキングか
もちろん1976年版の方な。
いきなり、
「遅刻遅刻・・・」
と言いつつ食パンくわえて走る女子高生ですよ(笑)。これ、深く追求するとかなり大変そうなネタみたいですが(参考)それはさておき、当然ぶつかるわけですよ。転校生の男子じゃなくてゾンビなんですけど。ギター背負ってるってことはキカイダー・・・じゃなくてストリートミュージシャン?
この導入だけで感じるわけです。これはタダモノではないぞと。
とある映像制作会社の建物を舞台に繰り広げられる、主人公・アイコ(矢島舞美)とゾンビたちとの死闘・・・ってだけじゃもうありきたりじゃないですか。そういう映画、世界中に何百本あることか。
そこで、ということなのか制作者の趣味なのか、随所に邦画・洋画・テレビ映画のオマージュが散りばめられていて、そういうトレジャーハンティング(笑)のネタとしても楽しめる。
とりあえず、ヤスデ(鳥居みゆき)の「美女・黒ずくめ・アコーハット」というスタイルは、これはもう『女囚さそり』シリーズ、梶芽衣子様しかないわけですよ。松島ナミは寡黙だったけど、同じような格好で饒舌という崩しも見事。
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<月に一度は 血を流しゃ♪
と『怨み節』映画使用Ver.を歌いだすか気が気じゃなかったです(笑)。
ゾンビ軍団に対抗すべく、対策ビデオ(タイトル失念)を参考にありあわせの材料で「ゾンビ殺し機」を作るわけですが、この「絶体絶命のピンチから、その場にあるもので武器を作って局面打開」というのは『特攻野郎Aチーム』シリーズ後半の定番シーンでして、画面の雰囲気もそのまま。ここまでやるなら是非BGMも使ってほしかったなぁ、予算なかっただろうけど。
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社長が「ゾンビ殺し機」で奮闘する一方、アイコは両手に灰皿をガムテープで括りつけ、連続パンチでゾンビを倒す*1。これはポコポコヘッド・・・かもしれませんけど、あの連打連打は『翔べ! 必殺うらごろし』の若(和田アキ子)って可能性もある。最後の一撃で首から上が180°後ろを向いたら完璧でしたね。
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・・・と、ここまで書いて、
「首から上を180°回しちゃったら『女必殺拳』じゃないか」
と、イメージが妙な方向へつながりました。
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ホラーには詳しくないので、そっち方向のネタはわからなかったりしますけど、ゾンビに追い詰められて屋上に上がるとヘリコプター・・・ってのは何かで見た記憶が。別ジャンルでこれだけ入れてる*3のだから、わかる人が見れば爆笑モノのネタが仕込まれてるのかもしれまえん。
機械室(?)が見せ場の多い舞台の一つになってまして、流れで考えると屋上の手前っぽく、「そういうのって地下にあるもんじゃね?」とか不思議に思うわけですが、細かいことはいいっこなし。
ここは本当の元ネタがあるのかどうかはわかりませんが、ヲレの頭の中だけで勝手にこじつけられたのは『ウルトラマン』の28話「人間標本5.6」。そう、ダダの回ですよダダ。ダダに追われたムラマツキャップと女性技官が、ダダの持ち込んだ「エレクトロニクス動力源」(いま聞くとナンノコッチャなネーミング)を発見する動力室があんな感じ。
<目〜指すは〜 ダダ♪
ということで『世界一HAPPYな女の子』につながるわけです(←嘘)。
ヤスデは自分がゾンビなのか人間なのかで揺れているのだけど、自分の思わぬ正体を知ったカナブン(中島早貴)に、
ノソ*^ o゚)<ゾンビだ!
ノソ*^ o゚)<ゾンビ!
ノソ*^ o゚)<ゾンビ!
と連呼されて完全にゾンビ化・・・ってそれなんて『噂の刑事トミーとマツ』?
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ドラマの盛り上がりとともにネタ祭りもヒートアップし、結実するのがラストシーンでしょう。大勢集まったゾンビ軍団*4を前に、迷彩シャツに着替えて刀(状の何か)を背負ったアイコが大型バイクで飛び出していく。「美女・刀・バイク」とくれば中野貴雄監督あたりが好きそうなネタですね、と片付けてもいいんですが。
刀とバイクといえば。
星雲仮面マシンマン。違う、あれはバイクがSUZUKIのカタナ。
仕切り直し。
刀とバイクといえば。
『ブラック・レイン』の松田優作さんじゃないですか!!!!!
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一体全体、77分の映画にどれだけのネタが仕込まれてるかわかりません。『映画秘宝』あたりで一つずつ拾い上げてもらえませんかね(笑)。
『ゾンビデオ』ってそういうネタ映画でしかないのか、といったらそういうわけでもない。オマージュあり血しぶきあり内臓ありの一方で、過剰なくらいセンチメンタルなシーンもあるんですよね。
ゾンビ殺し機をくらった女子高生ゾンビはあの朝の記憶を脳裏に甦らせながら死んでいくし、アイコはゾンビ化した宅配便ドライバーと対峙し、心に秘めた淡い思いごと殺していく。リビング・デッドであるはずのゾンビにも殺される痛みがあり、殺す側にも殺す痛みがある。それを印象的に描いてあることが、ドラマの質を一つ上げたと感じました。
カナブンにもいい見せ場があるし、人によってはちょっと泣ける映画かもしれませんね。
それよりも何よりも、監督自ら「美しさ」を見どころの一つに挙げていたように記憶しているけれど、アイコが、矢島舞美さんが、とにかく血まみれで、強くて、かっこよくて、美しい。2011年版『らん』の客席で幻視した「髪振り乱し血まみれで戦う矢島舞美さん」が、同じ年のうちにフィルムに焼き付けられ残された、軽く100年くらいはフィルムセンターあたりで保管されちゃうかもしれない。これがすごく嬉しい、感動してしまうわけです。思わず、
(オ゚Д゚)<これだよこれ、ヲレが前進座劇場で見たのはこれなのよ
と最終回のハヤタ隊員状態になるところでした。
口(のような器官)から溶解液(的な何か)を吐くクリーチャー*5とのラストバトルの後のシーン。これは2011年の矢島舞美さんベストショットかもしれない。
苦手な人にまで劇場で見ろとはいいません。いつになるかはわかりませんがDVD化くらいはされるかと思うので、ここだけは見てください。買って配るわけにもいかないところに忸怩たる思いはありますが、どうかひとつ。
鳥居みゆきさんも美しい、中島早貴さんはかわいくて切ない。社長役の大堀こういち(ケータイ刑事シリーズの柴田束志が有名ですかね)さん、思わぬ登場をする杉作J太郎さんも体当たりの熱演(笑)。役者の奮闘も楽しめる映画だといっていいでしょう。
矢島舞美とか中島早貴とか℃-ute、ハローを知らなかったり興味がなかったりする人でも、映画そのものでちょっとギークな楽しみ方ができて、そういう遊び心のある映画を遊び心を持って見るのが好きな人に「こういうヘンなのあるよ」と薦められるし、見てくれたなら「俺はネタをこれだけ見つけたぜ」「うわーそいつは気づかなかった」なんて話をしつつ「これ撮った人もホント『好き』だよなー」なんて笑いながら気持ちよく酒が飲めるわけです。いやヲレは飲めませんけれど。
こういう映画、それに起用してもらうのをずっと待っていました。ありがとうございます。
なんだかすごく嬉しくて、この気持ちを村上監督に直接伝えたい。握手会とかないですかね(笑)。