若者たち

いつもは勢いでガーッと書き飛ばすのですが、松戸コンが終わってからすこーしずつ書いて溜めて足して、という形でやってみました。だからちょっとネタ的にタイミングを逃したものもあるかもしれません。
単なる思いつきの羅列というのはいつも通りですけどね。


そういやおれたちがこんなことしてるあいだに
丸井さんは走りまわっていたんだな

──墨谷二中・加藤──

キャプテン 4 (集英社文庫―コミック版)

キャプテン 4 (集英社文庫―コミック版)

松戸からの帰り道はそんな気分でした。
僕らが増員しろとかするなとかブツクサやってる間に(一番熱心にやっていたのはたぶん僕ですが)、℃-uteは自らを鍛えていたのです。
ここが変に場数を踏んだ大人のダメなところであり、また℃-uteを信用できる、信用することをやめなくて済んでホッとしているところでもあるわけですよ。


この半年間、いや去年の8月とか7月、いやいやもしかしたら2月の終わりからここまで。
支えたものは何だったんだろう。



「あなたは努力していますか?」
スマイレージ前田憂佳は、High-Kingへの参加決定を告げられる直前そう訊かれたといいます。
5万人手売りに始まり、ハローってのは歴史的に「ガムシャラになること」を求めることが多いですよね。悪い表現を使いますが、
「バカになれない奴はどこかで息切れする」
みたいな育成理念、信念があるのかな。
バカ正直というか愚直というか、そういう「脇目も振らず一直線」みたいなところ。あ、「ひたむき」っていえばいいのか。どうにもオブラートにくるむのが下手で我ながら困っております。

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 スマイレージで思い出したんでちょいと脱線しますけど、笑顔キャンペーンもそういうことだと思うんですよ。お前らちょっと必死になってこいと。
 で、実をいうと本当の主役はあなたです・・・もとい、本当の狙いは我々なんだろうな。
 本気度合いを試されてるような気がする。
「このアゲンストの風のなかメジャーでやっていくには皆さんの熱意がどうしても必要なんですよ、どこまで本気でメジャーデビューを望んでいるのか、疑うわけじゃないけどカタチで示してほしいのよ、いや正直疑ってますが何か」
みたいな。受身一辺倒なくせに文句だけは一人前どころかメガ盛りで吠えまくる俺たち糞ヲタクどもに向けた「ちったぁ行動してみせろ」ってな挑発であるわけです。
 そういうことが理解できて、迷いが消えました。このおっさんは不惑とかいわれるお年頃ですけどね、この手の挑発を流せるような人格者になったおぼえはございませんのよ(笑)。そもそも2007年あたりには散々煽られて突っ走った℃-uteファンですから、こういうの大好きでねぇ。
 推す推さないは別として、これを黙って、あるいはうがった視点で見てるだけで済ませるってのはヲレの美意識において最低最悪にみっともない。ここは一歩踏み出すところであって、そこで躊躇することに慣れちゃったら、対スマイレージだけの話じゃなく「誰かに何かができる」ことは一生なくなるだろう。そう自分にハッパをかけました。
 他人の選択には干渉しないけど、ヲレにとってはここでバカ面差し出して写真撮られる方が日々のゴハンを美味しく食べられるだろう・・・松戸でついに写真撮ってもらったのはそういうわけでした。おかげ様で気持ちよく体脂肪率が増えていく日々を送っておりますが、これだけ参加して後はシラネーヨ、ってのも「ねぇわ」って話だよなぁどうしよう(苦笑)。

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戦ってるんだよなぁ。
目標に向かって、どこまでまっすぐ立ち向かえるか。立ち向かうことを続けられるか。


とはいうものの、ただ形振り構わず驀進すればいいのかというとそんなことはない、というのがハローの面白さ。
業界の海で目標に向かってガムシャラに泳ぐことを求められるんだけど、泳がず波まかせでプカプカ浮いてるのも、必死に泳ぎすぎて溺れるのも負け。だからここでブレーキかけなさいよ、というものすごく微妙な一線が引いてあると感じられる。
マーケットリサーチ的なことをやってないはずはないので、今ウケている/ウケそうなものが何かくらいはわかっているとは想像するんですが、あえて「じゃあこっち行きましょう」みたいな。ロックの精神の一つとされる反体制・・・というと誇張しすぎですが「他人と同じことをやらない」という信念めいたものの欠片の匂いの雰囲気を感じる部分でもあります。


それらを頑固なくらいに守り通す融通のきかなさ(苦笑)が、僕にとってはたまらなく面白く、また「美しい」ところなんですよ。
曲がった道をまっしぐらってのもユニークな話だけど、考えてみりゃ滑走路じゃあるまいし、道なんて曲がってる方が自然だわな。


ハロー!プロジェクトに根源的な大テーマがあるとすれば、それは「自分と、世界にある善意の肯定と感謝」*1じゃないかと思うんですが、それはいたずらに「人それぞれで個性だぜ自由だぜうちらのやること全部オッケーだぜそういうのもあっていいんだぜ」っていうんじゃなく、自分(たち)なりの規範を守ってこそのものだという凛々しさがある。なぜって、善意に目を向けるならば対極にある悪意も意識せざるを得ない。何かを善と悪に分けるなら、そこには基準、規範というものがあるはずだから。
「変なプライド」と歯がゆく思う方が意外と多いのは存じ上げておりますが、僕はそういうハードボイルド的なやせ我慢の美学って大好物です。フィリップ・マーロウを気取るわけじゃありませんが、
「勝たなければ戦う意味がない。美しくあろうとしなければ戦う気にもなれない」
みたいな。ナニワの兄ちゃんが仕切ってる割に、江戸前の粋みたいなものすら感じさせるのがニクいところですよ。
从・ゥ・从<美しく戦いたい
从・ゥ・从<空に太陽があるかぎり!
(オ゚Д゚)ノ<そこでトトメスかい! ぶち壊しだよ!


誰よりもまず自分を相手に戦っている。そういう人間というのはたまらない魅力があるものです。



ハローの場合、入るにはオーディションを受けなければいけないし、デビューまでこぎつけるにもそこからまた一苦労なわけですが、こういっちゃ何ですけどそれに比べればやめるのは簡単・・・なように思えます。引き止められるってこともないっぽいし。いやもしかしたら表に出ないだけであるのかもしれませんけど。
いずれにせよ、他の多くの職業と同じく、やめたければやめられる。したがって去る者がいて、残る者がいる。単純な図式だね。

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先日「モーニング娘。は4年在籍で卒業というシステムにすれば良かったのに」とおっしゃる方と杯を交わす機会がありまして。その時にふと、
「やめないことよりやめることの方が周りへの影響は大きくて、でもその分ロイター板になり得るのかもしれない」
という、考えてみれば当たり前なことをあらためて感じました。ちょうどモンスターBOXみたいな大きな壁を見事にクリアしてみせた頼もしいやつらを見た後だったこともあったのかも。

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去った人々には様々な思いがある。理屈ではわかるのだけど、それを感じ取る機会は(こちらの土俵においては)訪れない。だから考えないし、「気にしない」ことを積極的にやる。勝手に妄想することもしない。そんな俺専用ルール。ただそれぞれにとって「譲れないもの」のためなんだということは信じておきたい。
そして。
残った者、なお同じ道を走り続ける者の心は。


思い出すのは、正月にテレビで見たあの光景。
前を行く者の背中は見えず、追ってくる者の足音も聞こえないなか、黙々と走り続けるランナー。
たどり着くべきゴールがあって、そこには迎えてくれる仲間、タスキをつないで走る仲間がいる。それを信じて。
走り始めるまでの日々、走り続ける時間が無駄ではないことを、走り続けることで確認し、表現し、伝達し、伝達される。
自分自身と、走る道そのものと、走り続ける仲間、ともに走った仲間、沿道の人々、・・・世界中のすべてを相手に。
やり切れたら、きっとゴールの後も自分の道を「走る」ことはやめないだろうな。



止まらない、止まれない。
そんな意地を張れるだけの自負、矜持ってのは最高に素敵だ。


そういう℃-uteってのは、僕にとっては、もはや好きとか大好きとかいうより、


誇り


なのですわ。

*1:身近にある小さな幸せを積極的に発見してそれを大事にしていくことが世界平和につながる、みたいな。