とても小さな革命

もうちょっとサプライズパーティーの話。


お祝い組4人がステージから客席に下りてきたあの時。僕は軽くパニックになっていました。
待て。君ら何をやってるんだ。そんなことしたら。だって俺たちは。










古参ぶるつもりはありませんが、どうしても思い出してしまうんですよ。
2006年11月3日、品川ステラボール。あの厳戒態勢の握手会。
あの時と何が変わったんだろう。少なくとも僕らはあまり変わってないような。


記憶を辿ってみると、誰の考えか知らないけれど℃-uteってのは「ファンと一緒に」という意識を強く持っているように思うんですよ。
「ファン参加型運動会」だった感謝祭とかこのサプライズ、まだ書いてないけど2日目の朝イベントとか。
去年の夏ツアーでは『JUMP』の大合唱があったけど、僕は実をいうと違和感あったんですよ。コレ合唱する歌か? っていう。でもやる。
ファンと一緒に歌って踊って楽しむ。コントやぐだぐだトークで一緒に笑う。
「お客さんに楽しんでもらう」というプロ意識とは何か違うものを感じるんですよ。


3人の誕生日をファンと一緒に祝いたい。だからメッセージボードも作ればサイリウムも持ち、客席に下りるわけです。
僕がスタッフだったら客席に下りるのはNG出しますよ。危険だもの。メンバーはあくまでもステージにいてもらいたい。それでも客席と一緒に歌ってサイリウム振ってもらって、同時にボード下ろしてくれば十分成立するわけで。
でも、そこで一歩踏み出すのが℃-uteであり℃-uteスタッフなんだよなぁ。
どうせやるなら祝う立場の4人は同じく祝う立場であるファンのいるところに立たないと意味がない。そこまで考えなければ実行できない発想じゃないですかね。
ラインは引いても垣根は作らない。いやもちろん究極的には高い高い壁、深い深い溝があるわけなんだけど。


しかし・・・いいのかなぁ、と思うんですよ。たまたま事故なく終わったけれど、やっぱり不測の事態が起こる可能性は否定できないし。かつて僕らの中の誰かが℃-uteに何をしたかを考えるとねぇ・・・。

       ⊂⊃
     ∋oノハo∈  ☆
   ィ'.~从・ゥ・从、/ <それはそれ、これはこれだ
  ノツッ⊂ハハつl  
   ノツノく___,ゝリ
     (/ (/


从・ゥ・从<もちろん忘れたわけじゃない 忘れられるわけがない
从・ゥ・从<でもね、そこにこだわってたら前に進めないんだ
从・ゥ・从<悲しい記憶に囚われて今ある幸せを逃すなんてもったいないじゃん
まぁ、それはそうなんだけどさぁ・・・
从・ゥ・从<ま、お前さんの気の済むようなことをいうなら・・・
从・ゥ・从<うちらが失ったものはお前さんたちが埋めてくれるんだよね?
从・ゥ・从<お前さんたちにはその責任がある
从・ゥ・从<・・・でもまぁ、そういうことはあまり考えないように
从・ゥ・从<一緒に楽しんでくれればそれでいいのさ
从・ゥ・从<何というか・・・うちらは「チーム」だ
从・ゥ・从<病める時も健やかなる時も・・・じゃなかった
从・ゥ・从<喜びも悲しみも一緒に感じてほしいのさ
从・ゥ・从<悲しみ 微笑 未来へ語り伝えたい♪
从・ゥ・从<未来はいつもここにある♪ってね
从・ゥ・从<今ここにあるものを思いっきりかみしめていこうジャマイカ
矢島・・・お前最高のリーダーだ。でも逆境ナインからネタ引っ張るとかマニアックなのはどうかと思うぞ。


色々な現場を見てきました。
色々なアイドルがいて、色々なファンがいて。
でも多くの現場に共通して存在した光景は「利用し尽くして価値がなくなったらポイ捨て」を互いにやるという殺伐としたものでした。現実ってそんなものよね、と開き直って色々やらかしたりもしました。あちらはあちらで「いいお客さんってのはこちらの言うこと聞いて黙って金払ってくれるのをいうんだよ」とファンの前で吐き捨てるスタッフがいたり。ハローや℃-uteの周りにもそういう伝統というか流れはあるのかもしれません。
でも、何かが違う。
(俺)<で〜も〜何かがち〜が〜うぅ〜♪
州´・ v ・)リ ・一・リ(o・v・)<鈴木ヒロミツか!
何か違うことをやろうとしている。


ぶっちゃけ確かにファンなんてのは金づるだ。
でも、タレントとの間にもう少し柔らかな関係があってもいいんじゃないか。
立場が人を変えるというならば、こちらが誠意を持って対応することで何かが変わり、生まれるんじゃないか。
思いっきり足を引っ張られた相手だからこそ、関係を一から作り直さないといけない。
ならば、新しい関係性を生み出す試みをやってみてもいいんじゃないか。
℃-uteがダメになるかの瀬戸際なんでしょ? やってみる価値ありますぜ。
・・・そんなことを考えためちゃくちゃ楽天的な理想主義者が℃-uteの周りのどこかにいたのかもしれない。
ありがとう。もしもお会いする機会があったら一杯おごりますよ、とうかつちょーが。


殺伐としたものがある現実は否定しないけど、それは3万グロスくらいのオブラートで包みまくって、℃-uteの名の下に集うできるだけ多くの人が笑顔になれるように。
そんな気持ちが根底にあるような℃-uteが懸命にパフォーマンスしメッセージすることで、少しずつでも何かが変われたら。
そりゃあ世の中全体、芸能界全体からすれば隅っこでチマチマやってることですよ。大きなものには何の影響力もないでしょう。
でもね、この「必要とされている」「それなりに大事にされてる」感覚、それによる充実感や幸福感というのは、人を活かし生かすものだと思うんですよ。力のある者にすり寄って生き延びようとするテレビの中の世界、あるいは僕らの周りの世界とは比べ物にならないほど気持ちのいい場所なんですよ。
余計なものはいらない。あの黄色と青の℃-uteフラッグがあって、7人のメンバーがいて、僕らがいる。それだけでそこには「人を大事にする」優しくて幸福な空気が醸されるわけですよ。


さて。僕らも幸福をもらってばかりじゃいられない。
ノブレス・オブリージュじゃないけれど、僕らにもやるべきことはあるはずだ。
できることからやっていこう。


もういいだろう。ステージから見れば僕らは等しく「ファンの皆さん」の一部なんだ。そこで「俺」を過剰に主張してそれがいったい何になる。いたずらに消耗しあい、心が痩せていくだけだぞ。


僕らが「ファン一同」としてステージに熱い気持ちや優しい心を届けた時、そこにいる美しい心を持つ女のコたちは心からの笑顔を見せてくれる。そんな気がします。