トラバレスというか長いコメント

はろぶろ。』様。わざわざありがとうございます。また懐かしいタイトルをご記憶で。


一言でいえば、得心しました。

「大衆から支持層」

押し付けられた音楽はよりパワーを持った音楽に負けます。

84年くらいになると80年・82年組のイメージチェンジに伴ってファンを逃さないために後輩に今までの路線を継がせるということもありました。その後も支持層の食い合いを続けて大衆をどんどん置いてきぼりにしていって、結局は逆に見向きもされなくなった、という側面はあっただろうと納得します。自分自身が80'sアイドルの支持層だったので見えにくいことでした。
それから、曲作りを依頼する側は「これが受けるんだ」という記号のようなものに、される側は自分の好きなこと、やりたいことにそれぞれこだわりすぎて外から見ればデッドコピーにしか思えなくなったのかもしれない、ということも思い浮かびました。僕らは「個々の魅力」を見出して支持していたわけですが、それは歌う人のパーソナリティに負う部分であって、楽曲単体としては傍から見れば大差ないものだった可能性には考えが及ばなかったですね。
新鮮な発見でした。映画でも文学でもそうだと思いますが、大衆という見えないものに向かって発信する職業にとって作家性との折り合いは永遠のテーマなのでしょうね。


『love letter』は初めて聴きましたが、これはあまりにも真っ正直に80年代をやっていますね。ホリゾントとスモークの簡素なセットで歌ってる姿がイメージされました(笑)。
今は80'sアイドルを聴いて育った世代が送り手に回っている時代なので、そういう人たちと80'sアイドルでお金を稼いだ人たちが若い女の子を使ってポップス(ともちょっと違うかなぁ)をやろうとすると、こういうものが出てくるのも無理はないでしょう。
自分の感覚だけでいうと「『歌姫伝説』で飛び跳ねてた時代だったら買ってたな」というところです。80年代を引きずって「次」を貪欲に求めていましたから。今近辺の時代だと、僕自身が「リアルタイムで十分摂取したし、あと5年くらいは聴かなくていいな」という気分に変わっていますし、聴こうと思えば昔のもの自体を(代表的なシングル曲くらいなら)レンタルして聴けるようになってますから、今の人は今のものをやってくれるのが一番面白いと思います。拙速な判断は危険ですが、実は送り手が考えるほどにはニーズのないものかもしれないという仮説を頭の隅に入れておこうと思います。
むしろ70'sアイドルを聴くことの方が多いですかね。突然『芽ばえ』が聴きたくなって麻丘めぐみのベストをかけて『ときめき』あたりまで聴いちゃうとか、キャンディーズ借りてくるとか。


自分は恐らく80年代モノを「昭和歌謡」に含めるかどうかが曖昧なのだろうな、という気もしてきました。歌謡曲がJ-POPになっていく過程の時代の産物であるような。たぶんJ-POP観も他の人とはズレてるんだろうなぁ。全体的な印象は「うっとうしい音楽」なんですけど(笑)。
そういうわけで『美少女心理』を昭和歌謡といわれるのにはまだ違和感が残るのですが、徐々に慣れていこうかなと。
たぶん最大の違和感は「℃-uteBerryz工房を『昭和の遺物』扱いしないでよ」ということかもしれません。そう扱われもしょうがない部分もあることは承知していますが。


そうそう本題は『美少女心理』でした。
あたらめて聴いてみたわけですが、イントロなんかは「そう言われればこういうのあったね。どっちかというとB面曲かな」と思いましたし全体的にレトロ感はあるんですが、そこはかとないつんく♂氏のカラーもまた感じますので、やっぱりハロプロの曲だという感触は変わらないです。℃-uteの新曲のカップリングなんだという先入観が拭えないからですかね。
「あえてやった」のであれば否定はしないです。カップリングで年に1回くらいとかフルアルバムにたまに1曲混ざる程度の頻度であればちょうどいいと思います。ただ、支持層に向けて・・・なんてことを考えているのなら、それは余計なサービスだと思い始めました。確かにこういうのは好きなんですけど、「僕の好みに合わせてばかりじゃ僕だって飽きますよ」「昔っぽいのを聴きたいときはそのものズバリ昔のものを聴きますよ」とはいいたいですね。フレーバーとして散りばめるというか、つんく♂氏の好みを「ちょっと置いといて」にしながらやっぱり影響が出ちゃった、くらいのものがいいのかなという気がします。


僕は℃-uteファンなので℃-uteには大きく育ってほしいですし、メンバー補充をオーディションによってのみ行うというハロプロの特性上も大衆へのアピールは忘れてほしくないですし、忘れられていないものと信じたいです。


ところで、資料を読み返していたら出てきたものですが、昭和の時代にはレトロ感のあるものに対して「大正ロマン」という言葉が使われることがあったようです。古いものは一つ前の時代の名前でカテゴライズしてしまえ、みたいな風潮が昔からあるんでしょうか。なんだか笑いがこみ上げてきます。