ヲタクは「不満」を消費する?

また大上段に振り上げたな我ながら(汗)。
从・ゥ・从<『キスは少年を浪費する』?
ごめん、パードルはよく知らんのよ。



「いつも過剰サービスをされるものだから快楽におぼれて、楽しくないと人のせいにするダメなファン」

前にも引用しましたけど、昔の人はいいこといったよなー。こうならないように気をつけたいと肝に銘じているつもりです。
発言者は昔の知り合いなんですが、今でも接待で泥酔して、出しちゃいけないもの出しちゃったりしてるのかな(笑)。おっと、他人様の恥ずかしい話を無許可で暴露するのはこれくらいにしておいて、話を戻しましょう。


こういうダメなファン、皆さんの周りにもいませんか?
何、いない? それは幸せなことだ。僕のTwitterのタイムラインにはそういう人が何人かいらっしゃるんですよね、楽しいことはあまりツイートしないで、誰かに文句がある時だけ俄然張り切っちゃう人。最近も複数の方についてフォローを外させていただきました。だってつまんないんだもーん。そういうの読まされるのって苦痛だし、インターネットをイライラの吐き出し場として使っちゃう人との付き合いは浅いものに留めたい。リアルで交流のある人については、悪い人じゃないのはわかってるのでこれからも仲良くしてほしいと思っていますけど。
僕がフォロー返しを積極的に行わないのは、フォローしてくださった方々の感情のツボがどこにあるのか、そこを刺激されたときにどんなリアクションをとるのか、そのへんが読めないからということもあるのです。


またTwitterの話になりますが、昨日渡辺満里奈さんで好きな曲とか現場の思い出なんて話をしてまして、ツイートしなかったんですが思い出したことがありました。
彼女のシングル曲で一番好きなのは『虹の少年』でして、いつだったかのライブで、この曲を堂々と歌い上げる満里奈さんの姿に心の底から感動したことを憶えています。あまりにも感動が強すぎて、この後満里奈さんから引いたくらい(笑)。
同じような体験は、ごくごく稀ながら過去に何度かありまして、あるアイドルちゃんがゴールデンタイムのドラマで主演と主題歌の歌唱を担当して、それが高視聴率をとって話題となり、その後のコンサートで主題歌を切々と歌う姿に、「ああ、この人はもうマニアのおもちゃではなく、もっと大勢の人にかわいがられていくんだな」と客席で痛烈に認識したのを、ご当人が桜田門のお世話になった件を経た今も懐かしく思い出します。


さらにTwitterでの話ですが、「これまでのヲタ活における悲しい思い出」なんてのを語るタイミングになったわけですよ。
重過ぎる話を除くと、推してた人ではなかったんですが、某アイドルグループを卒業することになったメンバーが、こともあろうにその卒コンの当日、
「本日出演予定の○○は妊娠が判明したため、母体への影響を鑑みて出演を見合わせます」
そんな要旨の張り紙一枚でサヨナラ。ここで燃え尽きるぜ! と気合入れてやってきた人々の姿は悲痛なんてものじゃなかったです。
そのグループは不可解な脱退劇はじめ客の神経を逆撫でするエピソードが実に満載で、ここで感覚が麻痺したからハローに対して寛大でいられるのかもしれない、そんな風に思うこともある(笑)。
「メンバーがどんどんやめても見に来るお客さん どうぞよろしく 永久(とわ)に愛して」
そんな風に歌われたこともありました。ムカつくでしょ?(笑)
確かにね、文句いったりプロデューサーを土下座させたり(!)しながら、現場があればみんなやってくるのだ。たとえカネ払って入ったコンサートを見ないで会場ロビーで談笑していてもだ(←こういうことをしてはいけません)。



これっていったい何なのかな?



(1)文句をいうことに情熱を燃やしているような「ファン」が現実に存在する
(2)完全な満足が得られると、そこで熱意の決着がついてしまう
(3)文句をいいながらも、最後にはカネを払う


むむむむむ、なんだか論理を無視した強引な仮説を立てたくなってきたぞ。



ごくらくアイドルwebネットワーク事務局の「ひろろん」氏(この方にも制服向上委員会の現場でお世話になりました)は、HP内の「アイドルファン用語の基礎知識」において、

アイドル[あいどる]
1.芸能人のうち、才能や技術よりも「可能性」をウリにしている人々。
(以降引用者により省略)

という素晴らしい定義を提唱されています。
インスパイアされたものもありつつ、僕はこう考えてみました。


僕らは不満があるから逆に熱中するのではないのか。
アイドルちゃんが「売る」ものは何だろう。まずはとにかく歌やダンス、トークや演技といったパフォーマンス。あるいは「夢」だという人もいるだろう。個人的にそんなものを売ってもらった覚えはないけれど。
それらは確かに「売り物」としてパッケージングされる。だがそこにはひそかに「不満」が同梱されているのではないのか。可能性とて、「今よりもっとよいものになる期待」と考えれば、現状に「成長の余地」という名の不満を感じているということかもしれない。
満足しなければ、「次こそは」という思いが生まれるからだ。


歌がヘタ、リズム感が悪い、滑舌が悪い、曲や歌詞が悪い、売り方が悪い、売る方が何考えてるのかわからない、・・・僕らはわざわざカネを払って様々な不満を積極的に買い込み、物申す(笑)という行為でそれを消費して、楽しんでいるのではないか。そうでなければ、いくらイベント目当てとはいえ「糞曲」のCDを大量購入できるはずがない。
「○○ちゃんのためにこんなつまらんCDをいっぱい買う俺カコイイ」みたいな気分もあるかもしれないし、不満を表明するという手続きを踏んではじめて見た(聴いた)ことになる、という心理があるとしたら、それはそれでわからなくもない。ヲタクにはそういう面倒な心の動きがある、と思う。
楽しいのはわかる。ヲレだってさんざんやったから、止める権利も資格もない。だけど、これって曲がった楽しみ方じゃないのか、程度の疑問は持っていてほしいなー。そういう屈折があってこその「ヲタク」じゃないのかと、このオッサンは思うのよ。


これは何もアイドル歌手ビジネスに限った話ではなく、アニメでも家電でもギャンブルでもラーメン食べ歩きでも同じではないのか。今回は外れた、これは受け入れがたい、だが次に期待しよう、このままじゃいけないからあえて苦言を呈するのだぞ、・・・その繰り返しが過剰な思い入れとなり、僕らをヲタクたらしめているのではないだろうか。
僕たちは、「不満」を提供され唯々諾々とそれを消費することによって、対象に執着させられているのかもしれない。


少なくとも、ヲレの脳内ではかなりの事象がこれで説明できるような気がする。



と、ここまでが雑な現状認識ごっこ
さて、どうしましょうか。


これは巧妙な抱き合わせ商法なわけですよ。何か楽しみなトピックには必ず不満が同梱されている。とはいえ、同梱させることで受け手の執着を惹起させているのだというカラクリさえわかってしまえば、渾然一体として見えたものが「期待」「不満」に峻別できようというもの。
あとは、それにどう対処するのか。不満点を列挙して楽しみたい人のことは、残念ながら置いていこう。
1/100ドムと一緒に買わされたおでん屋台や姫路城、ドラクエIIIとセットにされたボコスカウォーズ参考)をどうするのか。作るのか、プレイするのか、捨てるのか、中古ショップへ持ち込むのか、誰かに無理矢理押しつけるのか。



マニアという立場からの私見
現状において、アイドル歌手を愛好したり応援したりする趣味の活動は、アイドル歌手ビジネスに顧客として関わる、という大して面白みのない付加物がついて回り、これを切り離すことはかなり難しい。内幕を暴露して楽しみ、「リアル」がもてはやされた1980年代、それによってすっかり悪ズレした顧客のニーズに応えながら、一方で不満をキープさせることに腐心した1990年代を経て、ゼロ年代以降の僕らの世界はこうなってしまった。そうさせた世代の中心の一角がヲレたちの世代だったという認識はあるので、若い世代に申し訳ないことをしたという自覚はある。
だが、ションボリしていたって現実は変わらない。対処していかないとね。
90年代以降のマニアが身につけた自己防衛術の一つが、
「ネタにしてやり過ごす」
ことなんだけど、これは現代でも有効なんじゃないかと思う。
向こうからやってくるネガティブな情報をいかにねじ曲げて楽しんでしまうか。ここにかつてのマニアは己のプライドを賭けたんだよなぁ。暗い遊びではあるのだけど、イライラを募らせるよりは若干健康的なんじゃないかと思うのよ。


「なぜこんな事態を招いたのか」
事あるごとにこういう声が聞かれる。事あるごとに、だ。いつまでたっても、だ。1年前にも2年前にも30年前にも、だ。
誰も答えるはずがない疑問をいつまで発していれば気が済むのだろうか。ボヤくだけで何かが解決すると思っているのだろうか。誰かが解決してくれるのを待っているのだろうか。そんなヒマな奴は世界中探したっているはずがないのに。自分の疑問は自分で解決するしかないのに、なぜ疑問を発しただけでドヤ顔になれるのか。
いい加減、先へ進もうじゃないか。
よく「ファンをバカにするのもいい加減にしろ」なんて聞くけどさ、現状のままならヲレだってバカにするよ。そんな客に対する極めて真っ当な評価だと思うけどね。


理解不能なことはある。理解しなくてもかまわない。というか、理解できないものを無理に理解しようとすることはない。むしろ絶対に理解してはならない。ヲレにだって何年かに一度くらいはそういうことがある。
だけど、「こういうことなら俺は大目に見てやれる」という自分だけの答え、そういう冗談を見つける作業を積極的にやったって、誰にも迷惑はかからないと思うのさ。そしてそれは楽しいぜ。冗談を考えていると、まるで自分が鈴木愛理になったような気分になれるぞ。おっとこれも冗談ね。


とはYeah。
「この不満は『仕込み』である」と思えたら、真面目に相手する気もなくなるんじゃないか。そんな風に思っています。実際ヲレもそうなりつつあって、事務所の犬というのはこうやって育つんだなー、なんて思わなくもない(笑)。
ただ何事も受け手が批評精神を失ってしまったら発展はないので、アップフロントの犬として、不満分子の皆様方におかれましてはより一層の奮励努力を期待するものであります(`・ω・´)ゞ
個人的にそういうことは心底くたびれるし、若い頃にさんざんやってもう飽きたのでやりませんが、お互い楽しくやっていきましょう。