祝辞

ばかだなぁ。



何を好き好んでこんなところへ舞い戻ってきやがった。平凡でも確実で安定した幸せを目指していればよかったものを。
君はあれか、泥沼のベトナムから生還したのに平和な暮らしに馴染めなくてエリア88に入隊したミッキー・サイモンか。



貴女も禁断の木の実の味を忘れられなかったか。


いや。


貴女の夢は、まだ額に収めて飾っておけるような完成品、思い出になっていなかったのでしょう。
描いていない線が、置いていない色があった。それを放っておいて新たな絵を描くわけにはいかなかった。
この絵を描きあげなければ一歩も先へは進めない。
その覚悟があってのことだと、妙にマジ顔なTOPとプロフィールの写真から受け取りました。
ここにあるものが甘美なおとぎ話じゃないことは、十二分以上に知っている貴女だから。



ならば。



思う存分輝いちゃえばいいのです。